Boeing787 見学会

本日はJAL/AAによるBoeing787の3号機(実験機で実際の機体とは素材等の仕様が微妙に違う機体)の
見学会がBoston Logan空港でありました。



それでは以下から一般のレビュー等ではなかなか詳細が出てこない細かな部分を見ていきます。

まずはコクピット。残念ながら立ち入り禁止だったので係員の方に代わりに撮影してもらいま
した。この全体写真で面白いのはコパイロット側のEFB(Electric Flight Bag)画面です。
機内のどこかに設置されたセキュリティーカメラの画像らしきものが写っています。



オーバーヘッドのスイッチ類はかなり減っています。
特に右側のPAC関連の部分はエンジンが電動モーターで始動するようになったからかかなり簡素
化しています。



機長側のEFBにはパフォーマンス計算用のアプリが出ていました。
よく見るとCopy FMC DATAや、SEND OUTPUT(FMCへ?)という項目やNOTAMSのタブらしきも
のもあり興味深いです。Level-DかどこからかMS-FlightSimulator用のプラグインが出ると
いいのですが・・・・



今までと大きく違っていて驚いたのがセンター部分です。FMCがキーボードを残して無く
なっており代わりにEICASの画面にFMCらしきものが写っています。
FMCのキーボードの上部に"SYS"や"CDU"、"CHKL"という項目があることからこの1画面で
従来のEICASとFMCを全て兼ねているものと思われます。
この表示では右側が従来のEICASに相当するSYS表示で左側がFMCのようですね。
さらに面白いことに右側のSYS画面で電気ブレーカー関連の表示が出ており、実験機な
らではの"FLT TEST SATCOM"(おそらくFlight Test Satelite Communication)という
項目があります。
あとは、"WATER UV TREATMENT"というのも気になります。(水を紫外線殺菌?)



前輪部分の真後ろに電装が納められている部屋へのアクセス扉(後方)があります。
前方の部屋への扉はさらに前の方にあります。



前輪の後部のインカムボックスにAPU(尾部にある補助動力のガスタービン発電機)の
シャットダウン機能もあるとは知りませんでした。




こちらは前輪格納部の後方側の部分です。
下の方に見えているライトは、レンズがクリアな方が着陸灯で波打っている方がTAXI
Lightです。



前輪を挟んで逆側(機体右側)の部分です。
下の方に見えるボタンはどうやらブレーキの制御用ボタンのようです。
外部からリリース出来るようですね。



前輪格納部分にあった制御板です。



こちらは前輪の扉(他の写真で003とマーキングされている部分)です。
手前の方の縁にキーのようなもの(出っ張り)があります。



こちらは前輪格納部の前方扉部分(前輪の出し入れの際しか開かない部分)です。
一番手前にみえる真鍮のようば丸い部分に先ほどのキーがはまるようです。



前輪のタイヤ部分が格納されるあたりです。
ちょうどコクピットの下あたりです。



その少し前方の機首部分の真下に前方電装の部屋があります。
こちらはその部屋へのアクセス扉です。




メインギアの主軸は実際の製品でも同じものらしいのですが、斜めに走っている部分は
カーボンファイバーになるらしく、見た目はまるでガンダムの足のようにずんぐりむっ
くりだそうです。
この機体ではジュラルミンでした。
実際にジュラルミン製のパーツは一人で持ち上がらないらしいのですが、カーボンファ
イバー製のものは簡単にもてるくらい軽いそうです。








メインギアの扉に付いていたプラカードです。
ストラットの圧力についての情報等が書いてあるようです。



次はエンジンです。



このマーキングはいつも機内から見て気になっていました。
エンジン起動中の立ち入り禁止エリアについてや、メンテ時の注意書き等が書いてあります。

もう一点おもしろのが左側の縁の銀色の部分についている穴と排気煙跡らしき茶色いしみで
す。どうやらエンジンのエアインテークの縁の凍結防止用に流している高温のエンジン排気
の一部を出す部分のようです。



こちらはエンジン後方からファン部分をのぞき込んだところです。
黄緑色のバーは逆噴射時の排気を逆流させるために立てる板を支えている部分です。



台形のような形の部分がバーにより引き立てられて後方への排気を遮ります。
同時にもうすこし奥に見える黄緑色の縁の部分からエンジンの外装部分が割れて遮られた
排気が前方へ逃げていくための隙間が出来るようになっています。
図解ではよく見たことがあったのですが、実物は初めて見ました。



当然これらのパーツもほとんど全てカーボンファイバー製のようです。




主翼を見ていきます。



空中放電用のアンテナです。ウィングレットの先端まで生えていました。



こちらは緊急時の燃料投棄用の出口です。



真ん中の穴は燃料タンクのベントです。
消費した燃料の分だけタンク内に空気が必要なので、ここで吸気します。


主翼の裏部分のふたですが、整備士の方のお話によると787では燃料系が動作しない
際に手動で計測するためのガラス管は無いそうです。<これだと勘違いしていました。
単なる燃料タンクのメンテナンスホールのようです。


このあとは機体各部を見ていきます。

主翼根元の着陸灯です。




ピトー管は左右とセンターで3本あるようです。




こちらはTCAS(衝突防止装置)用アンテナとのことでした。
これのお世話にはなりたくないものです。
<衝突しそうな2機が片方は自動で急上昇、もう片方は自動で急降下します。



地上駐機中に外部からエアコン用のサービスエアを受ける部分です。




機体下部のビーコン灯です。

こんな構造になっていたんですね。
白い部分は廃熱用の放熱フィンでしょうか?




サービス電源の接続部分です。
今回は格納庫の出口部分に発電機を設置し格納庫内まで電源を引いてきていました。
エアコンはコンプレッサーをこの電気で回しているようでした。



APUのメンテナンス扉部分です。



エアーコンプレッサー用の吸気口です。
吸気口の前に飛び出ている部分があったので疑問だったのですが、どうやら異物を吸入
しないように地上滞在中のみ飛び出てくる遮蔽用の部分らしいです。
それ以外には特に意味は無いようです。



この規模の機体になるとStaticポートは1カ所に3つもあるようです。
(速度は静止圧と前方に向いているピトー管の先端から入ってくる空気の圧力の差分で
出ます。その他高度計や昇降計のために速度に影響されない機外の大気圧を測るための
穴が何カ所かあります。これはそのうちの一部です)


コンテナ室のロック状況を示すインジケーターとプラカードです。



大変有意義な見学会でした。